IoT技術を活用した「ドローンの航空管制システム」を独自開発

2017年開発終了

報道機関各位

2017年4月28日

IoT技術を活用した「ドローンの航空管制システム」を独自開発

上空で漂流状態のドローンをモニターし、位置情報が確認できる機能を搭載
トランスポンダ搭載ドローン全てのトラッキング、運航状況を一括モニタリング可能

株式会社オムニコルR&D (本社:東京都千代田区、代表取締役:中村和美、以下「オムニコルR&D」)は、業務運航中のUAV(以下、ドローン)のリアルタイムトラッキング/モニターができる航空管制システムを独自開発しました。すでにシステムの実証は終わっており、2018年に本サービス提供予定です。

システムについて

システムは、トランスポンダ、セキュアなWebサーバ、Webアプリケーション/スマートフォンアプリで構成されています。

センサー端末であるトランスポンダから携帯電話回線経由で様々なテレメトリー情報をクラウドサーバーに送信し、クラウドサーバー上でデータ処理しているため、ドローン操縦者側のスマートフォンからアプリで、機体の状況を確認することができます。

どのようなタイプの既存のドローンでも、一切の改造を必要とせずに、簡単に装着することができるドローンの航空管制システムです。また、センサー端末であるトランスポンダを独立型にしているので、ドローン本体のフライトコントローラーや電源に、一切依存しません。

独立型を採用した理由は、ドローンに対して高い安全性を確保するためです。フライトコントローラーにシリアル接続で双方向通信が可能なトランシーバーやセルラーモジュールを接続することは、セキュリティ上の重大な問題を抱えると考えているためです。

トランスポンダ搭載のメリット及び特徴

  • ドローンが想定外の漂流やFly-Away(フライ・アウェイ)を起こしても、トランスポンダを搭載していれば、ほぼリアルタイムに3G回線(※1)を通して、地図インターフェイス上で追跡が可能です。また、複数のドローンの運行情報をを同時に、集中モニターで監視することや、飛行後、必要に応じて機体毎の飛行日報を地図情報付きで作成することができます。
  • ドローンの電子的ハイジャックなどのリスクに対して高い安全性を確保するために、ドローン本体のフライトコントローラーや、電源に一切依存しない、完全独立型を採用しています。フライトコントローラーにシリアル接続で双方向通信が可能なトランシーバーやセルラーモジュールを接続することは、セキュリティ上の重大な問題を抱えると考えているためです。
  • ドローン操縦者は、リアルタイムで飛ばしている機体の飛行経路、高度、機体姿勢などの情報を専用のスマートフォンアプリでモニターすることができます。
  • 万が一、機体が突然漂流をした場合でも、地図ベースのスマートフォンアプリによって、不時着及び墜落した位置情報を把握することができるので、迅速に機体の回収が可能です。その際に、AR機能によってドローン操縦者のスマートフォンより、機体の位置と距離を確認することができます。また、スマートフォンから任意にトランスポンダのブザーを操作することができ速やかな機体回収に寄与します。
  • 将来的に、高度150m以下で飛行している有人機を同時に表示させる技術的余地があり、有人機との異常接近や近隣で飛行しているドローンとの不意の衝突など、深刻なインシデントを最大限予防することが可能です。

(※1)3G回線を使用しているため、回線提供事業者と協力し実証実験を準備中です。

開発の背景:ドローン操縦者の最も恐れる危機

産業用ドローンの操縦者が現在最も恐れるインシデントは、想定外のドローンの漂流です。過去の日本におけるドローンに関する事故報告を見てみると、ドローンはコントローラーとの交信が途切れただけで、簡単に2km近く漂流してしまいます。その際のドローン操縦者の心理的ストレス、ドローンを運用する会社の社会的信用失墜はドローンの産業普及に対する大きな障害となっています。このような社会背景を鑑みて、この問題を最新のIoT技術で解決するために開発しました。

また、同じ空域を飛行しているすべてのドローンは、トランスポンダを搭載している限り各ドローンの飛行軌跡をリアルタイムで可能です。

トランスポンダのプロトタイプ

3Gモジュール、Invensense MPU6050ジャイロセンサ、Bosch BMP280気圧高度センサ Arduino Nano DCDCコンバータ バッテリー

トランスポンダと一般的ドローンとの大きさ対比 トランスポンダ重量 67g

モニター用アプリケーション

あらかじめ一般的な産業用UAVの主なデータ(飛行可能時間や重量、総重量)が登録されており、トランスポンダを搭載する機体を選択し、IMEI番号を登録するだけでモニターが可能となる。

気圧高度計により飛行を検知するとリアルタイムトラッキングを開始し、機体の姿勢や高度、スピードなどをリアルタイムに表示する。飛行を開始したドローンは、プロペラが回転するアニメーション表示される。ドローンとコントローラーの通信が途絶えても、ドローンがどこへ漂流しているかを、リアルタイムにモニターが可能で機体の発見を容易にするため、アプリ側からトランスポンダのブザーを鳴らすことができる。

トランスポンダが搭載され、アプリに登録された機体は、複数機であっても、全てMap上にリアルタイム表示され、モニターしたいドローンをタップすることで、詳細表示を切り替えることができる。